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甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍
 

 健康診断で甲状腺の異常を指摘されたり、自分で頸の腫れに気づいたりするなど見つけるきっかけはさまざまであります。甲状腺の腫れに気づくことが早期の発見につながります。筆者が経験した甲状腺細胞診の結果が癌の可能性を否定できない患者234名の検査を受けるきっかけ(図1)をみると偶然自分の頸を触って変だなと感じたことが一番多いです。頸は普段あまり気にしない体の部位であるが、ときどき触れ、鏡でよく見ることが疾患の早期発見に重要なことだと思います。
 甲状腺の腫れには二種類があります。
① 甲状腺の形を保ったまま全体的に大きくなっているタイプ(びまん性)で、橋本病、バセドウ病などでよくみられます。
② 甲状腺の一部がしこりのような形で腫れてくるタイプ(結節性)
ここで説明する甲状腺腫瘍は後者の結節性甲状腺腫のことを指します。甲状腺腫瘍には良性、悪性の二つのタイプがあります。

甲状腺良性腫瘍
 甲状腺のう胞、腺腫様甲状腺腫、腺腫様結節
甲状腺悪性腫瘍
 甲状腺乳頭癌、甲状腺濾胞癌、甲状腺髄様癌、甲状腺未分化癌、甲状腺悪性リンパ腫

当院の方針
 

 まずは甲状腺超音波検査を実施して結節性甲状腺病変を観察します。その観察結果から必要に応じて、採血で甲状腺機能、免疫異常や腫瘍マーカーなどを調べます。良性悪性の診断には超音波ガイド下甲状腺穿刺吸引細胞診の結果をもって判断の材料とします。疾患別に経過観察や手術、より高度な専門検査を受けるなどの方針を提案します。

 

 

甲状腺良性腫瘍

■甲状腺のう胞
 のう胞は液体が溜まっているボール状なものを指します(図2)。サイズは数ミリ大から数センチ大とさまざまです。基本的に良性であるが、まれに癌腫瘍のなかにのう胞のような形をとって大きくなることがあります。サイズの大きなのう胞は、注射器で内容液を吸引して小さくします。再貯留することがあるので吸引は複数回行います。のう胞のサイズが大きく、かつ吸引だけで改善されない場合は、経皮エタノール注入療法(PEIT)をいう治療を行うことを検討します。

■腺腫様甲状腺腫、腺腫様結節
 結節性甲状腺腫瘍の原因として一番多い疾患で、結節ができる原因は不明です。サイズは数ミリのもから数センチ大とさまざまです。腫瘍は一つものから複数個にわたるなど多彩です。個数が多いからといって癌の可能性が高くなるというわけではありません。画像診断である程度正診できますが、癌の可能性を疑って穿刺細胞診で調べることがあります。また、過剰に甲状腺ホルモンを産生する結節が存在することがあるので、甲状腺機能を調べたりします。甲状腺ホルモンが正常で悪性の可能性が低い場合は、半年から一年の間隔で超音波検査を行い形状の変化を観察します。


甲状腺悪性腫瘍

■甲状腺乳頭癌
 甲状腺癌のなかで一番頻度の多いタイプです。成長はゆっくりであり、比較的に悪性度ひくい癌とされています。そのため、転移を伴ったり、神経への浸潤がみられなかったりとサイズが1㎝以下の乳頭癌は手術しないで経過観察する場合があります。細胞診で確定診断されますが、特徴的な超音波所見を示すので画像で診断がつきやすいです(図3)。

■甲状腺濾胞癌
 良性腫瘍である腺腫様甲状腺腫との区別が難しく、細胞診でも判定しにくく、手術をするかどうかの判断に苦慮します。癌の可能性が低いと判断された場合は腺腫様甲状腺腫と同様半年から一年の間隔で超音波検査を行い形状の変化を観察します。手術を考慮するべき条件として以下のものが挙げられます。
 ・超音波検査で悪性を疑う所見があるとき
 ・血液検査でサイログロブリンが1000ng/ml以上
 ・腫瘍のサイズ4㎝以上
 ・腫瘍サイズがだんだん大きくなっていくこと

■甲状腺髄様癌
 甲状腺乳頭癌や濾胞癌は甲状腺細胞の癌です。髄様癌はカルシトニンホルモンを分泌する細胞から癌化したものです。甲状腺悪性腫瘍の1.5~2.0%を占め頻度の低い疾患です。1/3は遺伝性をもち、このタイプを親に持った場合は、子供は50%の確率でこの病気になります。遺伝性の場合は甲状腺全部を摘出します。2/3は遺伝性でなく、たまたま病気になっただけです。診断は超音波検査と穿刺細胞診を行いますが、腫瘍マーカー(カルシトニン、CEA)も検査します。

■甲状腺未分化癌
 悪性度の高いタイプの癌です。急に頸にしこりができたり、声がかすれたりと症状の進行は速い。気道が狭くなると喘息のような気づかい、呼吸困難になります。治療が難しい癌です。

■甲状腺悪性リンパ腫
 橋本病からくる血液疾患です。橋本病はたくさんのリンパ球が甲状腺内に入り込みます。このリンパ球が癌化したものが悪性リンパ腫です。穿刺細胞診で悪性リンパ腫の診断がつく場合もありますが、試験的に甲状腺の一部を切り取って検査する場合があります。治療は放射線治療や抗がん剤を用います。したがって、本疾患の診療には内分泌内科医、頭頚部外科医、血液内科医などの連携が必要となります。

 

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